設立趣旨

 

- 糖鎖産業技術フォーラム(GLIT)設立趣意書 -

 ライフサイエンス分野においては、医療、創薬等に向け、遺伝子からタンパク質へと研究開発が進展しています。さらに、真核生物のタンパク質の過半数には糖鎖が付加しており、糖タンパク質として生体内で様々な機能を果たしています。糖鎖は、現状ではその関与を捨象して研究されている生命現象の多くに関わっています。例えば、癌、免疫、細胞分化、形態形成、感染症、脳、生殖、レセプターには、糖鎖の機能が深く関与していることが明らかになっています。

 糖鎖科学は、基礎的研究成果における日本人研究者の貢献度が大きく、また、糖鎖研究者数も諸外国に比べてもっとも多く、次世代をになう人材も豊富です。わが国には、世界をリードする糖鎖遺伝子資源、糖鎖構造解析技術、糖鎖合成技術、糖鎖機能解析技術など、糖鎖研究を支える多くの知見、技術が各大学や研究機関および企業等に蓄積されています。しかし、糖鎖技術および知見がライフサイエンス分野の研究に応用され、産業展開する仕組みが十分に整っていません。一方で、近年、諸外国も、糖鎖研究の重要性に気づき、国家予算を組み、糖鎖データベースを充実させて、追い上げてきています。

 今日の糖鎖研究は、実用化競争に突入する前段階的な状況であると考えられます。各糖鎖研究者が個別に研究を進めるのではなく、技術、資源、情報を共有することにより、我が国のライフサイエンス研究の水準を一段と高くすることができます。さらに、糖鎖研究の成果が研究の加速に貢献できる異分野あるいは産業界における糖鎖教育・人材育成を通じて糖鎖研究者層を充実し、糖鎖関連技術の実用化を促進することにより、知的創造サイクルを形成し、新規診断法や創薬などの産業化を通じて健康・安心・安全な社会の実現に貢献することができます。

 このようにして糖鎖技術の産業化を推進するため、大学、公的研究機関だけでなく、企業、医療機関、官庁なども含めた産学官連携の場「糖鎖産業技術フォーラム(GLIT:Glyco-innovation and Industrial Technology)」を設立します。

 

2007年12月17日

 (独)産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センター長 成松 久
 (財)バイオインダストリー協会 会長 原田 宏